空いた時間にすぐ働けるワークシェアサービス「タイミー」を運営するタイミーは1月10日、サイバーエージェント、エン・ジャパン、オリエントコーポレーション、セブン銀行、西武しんきんキャピタル、名称非公開の上場会社ならびに個人投資家2名から3億円を調達した。

タイミーは、人手が足りない飲食店などと、空いた時間を有効活用したい人たちをマッチングするサービスだ。お店ごとの求人に応募したり、採用面接を受けたりする必要はない。アプリに空いた時間を入力するだけで、数多くの候補から「今ヒマな時間」に働けるお店を探すことができる。2018年のTechCrunch Tokyoスタートアップバトルにも登場したサービスだ。

同サービスは現在約400店舗に導入済みで、その約8割が飲食店だという。タイミー代表取締役の小川嶺氏は、「求人広告の数自体は増えている一方で、アルバイト人口は減っている。求人広告を出しても人が集まらないという共通課題を抱えるお店がタイミーを導入してくれている」と語る。

一方で、タイミーを利用して働く側のユーザーの大半は学生だ。タイミーのダウンロード数は現在約3万5000件。そのうち3万人が学生ユーザーだという。「ユーザーの中には10回以上タイミーを使って働く人もいる。どこかの店舗にアルバイトとして常勤するのに比べ、毎回新鮮な経験や出会いがあることもタイミーの魅力の1つ」(小川氏)。小川氏によれば、今回の資金調達に向けて動き出したのは約3ヶ月前。当時は月間の売上が15万円ほどしかなかったというが、現在ではその約10倍の150万円まで売上が伸びているという。

ところで先日、藤田ファンドの第一号案件がタイミーであることがサイバーエージェントから発表されていたが、サイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏との出会いはサイバーエージェント側が開催したスタートアップ起業家向けの食事会だったという。

100人以上の若手起業家が集まったその食事会で、藤田氏は藤田ファンドの復活を告知。起業家はその食事会で各テーブルを周る藤田氏に向けてピッチを行ったという。小川氏もその1人だったが、後日「1億円を出資してください」という旨のメールを藤田氏に直接したところ、そのまま出資を受けることが決まったようだ。

サイバーエージェントの他にも、今回のラウンドには事業会社の名前がずらりと並んでいる。タイミーはそれらの企業との協業も準備しているようだ。例えば、セブン銀行とはタイミーがこれまで提供してきた即金機能をセブン銀行ATMを使って提供する協業を予定している。また、具体的な内容はまだ非公開だが、オリエントコーポレーションとはペイメント分野での協業を進めるようだ。

そのほか、タイミーは独自で新サービスの開発も進める。2019年中には「旅行」とタイミーをかけ合わせたサービスを公開予定だという。小川氏によれば、これは「0円で旅行が行けるサービス」で、ユーザーはタイミーを使って旅行先で働くことで、旅行代金タダで旅に行けてしまうという内容のサービスだという。そのために、今後タイミーは地方向けの営業を強化。2019年8月頃をめどに新サービスをリリースする構えだ。